『面倒だから、しよう』 渡辺和子著 を読んで
※「影響を受けた1冊」のコーナーでは、本を通しての気付きをご紹介します。これから読む方にはネタバレありますのでご了承くださいませ。
この本はいつも力になってもらっている大切な方から贈られた。お礼は伝えたが、改めて感想を伝えたいと思い手にした。コロナ禍での学びから「すぐやる、さっさとやる」が合言葉の時に、「面倒だからしよう」というタイトルはドキッとするフレーズだった。
作者は私たちに生き方を問うている。ていねいに生きる。よりよく生きる。人間らしく生きる。主体性をもって生きる。今という時を大切に生きる。そして、人生の最後を美しく終わらせる生き方はどんな生き方か。「面倒だからしよう」を通して、自分らしく美しく生きることを伝えていると思った。
なぜなら「幸せはいつも自分の心が決める」というように、価値観をはっきり持って生きることが幸せにつながる。本を読みながら、常に自分に「今、幸せか?」「幸せに生きるとはどういうことか?」もし考えていなければ、考えることで幸せな人が増えることを作者が願っていると感じたからだ。
「自由人とは自分の人生のあり方について自分で判断、選択し、自分の行為・不行為について責任を取り続ける人」だとあった。私の両親は共に自分たちの生き方を貫いた人達だったと思う。周りに左右されず、よいことも悪いことも責任をとる生き方だった。特に母は、私が引き継いだこのタックアカデミーのメンバーに対して、相手の個性を引き出し、輝かせることをし続けて、その引き出された方々が母へ感謝をして下さっている。その両親がいたから、作者の言葉にものすごく共感していったのかもしれない。
作者の人生は波乱万丈だ。9歳で目の前で父親が殺され(226事件関係者)、大人になってからその仇と急に会う場面に遭遇した。「汝の敵を愛せよ」との言葉がある。すでに修道女でもあった作者だが、その時は頭で許しても体がついていかなかったと振り返る。そんな自分を許すのだという。実は私にも許せない相手がいる。その相手がいることで、私は小さい自分を振り返り、成長への意欲に変えている。「許せない」と自分が自分の想いにふたをしないことが大切なのだと改めて気付かされた。
作者は修道者なので、本のあちこちにマザー・テレサの言葉(教え)が散りばめられていることにも感銘を受けた。タイトルだけを読んでいた時は自己啓発の本だと思っていたが、「愛は溢れゆく」そのものの、ものすごく優しい、愛にあふれた本だった。
タックアカデミーの「理想」の中に「美」がある。この本には、まさに日々学び、意識し、目指している本物の美についての事例が書いてあり、とても共感した。見た目をきれいにするだけでなく、心の美しさを求めようというテーマは私の目指すところでもある。
激変する時代に、この1冊をくれた大先輩に心からの感謝を込めて。